新説、科学者たちによると、宇宙は無数の小さな「時空の泡」で出来ていると


望遠鏡でのぞいて観察するだけでなく、数学を使って自然現象を説明できるようになり、宇宙についてもさまざまなことがわかってきた。

しかし、人類はいまだに宇宙全体のおよそ5%ほどしか説明できないといわれています。そんな宇宙が「量子レベルの小さな泡でできている」という説を、技術系メディアのMotherboardが紹介しています。

1916年にアルバート・アインシュタインが発表した一般相対性理論では、宇宙空間とは時間と空間が密接に関連した「時空」であり、重力によってゆがむトランポリンのようなものだと説明されています。
一般相対性理論が発表された当時、物理学者たちは「宇宙が膨張するか否か」で激しい議論を交わしていました。「神が作った宇宙は不変である」と信じていたアインシュタインは、自身の一般相対性理論に基づくと宇宙は引力によって収縮すると考え、導かれる重力場の方程式に「宇宙定数」と呼ばれる係数を追加し、「時空が斥力(反発力)を持っている」と仮定しました。後に、アインシュタインは宇宙定数の導入を「生涯で最大の過ち」と後悔し、自身の論文から削除しています。

1929年、アメリカの天文学者であるエドウィン・ハッブルが銀河の赤方偏移を観測し、宇宙が膨張していることを実証。さらに、1998年に行われた超新星の赤方偏移の観測結果から、宇宙の膨張は加速していることがわかりました。

by Wikimedia Commons

それまでは重力場で発生する引力によって「宇宙の膨張は減速するだろう」と考えられていたため、「どうやって宇宙は加速膨張しているのか?」という問題が物理学の世界をゆるがしました。宇宙を加速膨張させている正体として最も有力な候補が、ダークエネルギーと呼ばれる仮説上のエネルギーです。

しかし、ダークエネルギーの総量の理論値は、観測から導き出される実測値よりもおよそ120桁分も大きいとのこと。つまり、宇宙全体を見た時、ダークエネルギーのほぼすべてが人類が認識できない形で存在しているというわけです。なお、かつてアインシュタインが削除してしまった宇宙定数はこのダークエネルギーを数学的に説明できるものといわれ、再評価されました。

2019年9月、カリフォルニア大学デービス校のスティーブン・カーリップ教授は、時空の泡とダークエネルギーが密接に関わっていることを示す論文を発表しました。

カーリップ教授は、宇宙全体が膨張したり収縮したりする極小の宇宙によって形成されていると解釈。そして、時空の泡のふるまいによって、量子レベルで余分なダークエネルギーや膨張が打ち消され、結果として宇宙全体で見た時に観測されるエネルギーが少なくなると説明しています。

カーリップ教授によると、時空の泡がエネルギーや膨張を打ち消すためには「量子レベルでは、時間には本質的な方向が存在しない」と仮定する必要があるとのこと。もはや時間とは何なのかすらもわからなくなる仮定ですが、カーリップ教授は「量子の世界では、それほど珍しい話ではありません。ほとんどの物理学者はそもそもなぜ時間に方向が定まっているのかわからないと答えるでしょう」と語りました。

また、物理学者のJack Ng氏は、2019年9月に(PDFファイル)論文を発表。Ng氏もまた時空の泡のアイデアを用いて、宇宙定数を説明。さらに、Ng氏は時空の泡のアイデアに熱力学の考え方を組み合わせて、エネルギーを情報に符号化し処理する「宇宙で最も小さなコンピュータ」として時空の泡を解釈するという新しいアイデアを打ち出しました。

「自然界に存在する電磁力強い力弱い力重力を統一する」という万物理論に挑むNg氏は、時空の泡とダークエネルギーの解明だけではなく、さらにその先にある量子力学と熱力学の統一も見据えているとのこと。

Ng氏は「時空の泡の存在は、熱力学的なアイデアの助けを借りることで、自然界に存在するどの力の影響も受けないという『ダークセクター』の存在を暗示しているように思います。この一連の研究は、物理学の世界ではあまり一般的ではありませんが、自分にとっては意味があるものです」と述べました。

情報・翻訳先

Scientists Discover Huge, Mysterious Radio Structures at the Heart of the Milky Way – VICE


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