【科学】世界初の充電可能な「鉄イオン電池」が開発される


高エネルギー効率でリチウムイオン電池より安全!

 

リチウムイオン電池は環境への負荷が高いこと、需要の高まりによって価格が高騰していることなどから、代替となる新しい電池の開発が急務となっています。そんな中で、これまで見逃されていた「鉄」を使った充電可能な鉄イオン電池が世界で初めて開発されました。

リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いためさまざまな電子機器で使用されますが、過充電に対する保護が必要なこと、短絡から保護する必要があること、製造に大量の水を要すること、鉱物を採掘する際に有毒な化学物質を使用し環境を汚染すること、など、さまざまな問題点が存在します。またリチウムイオン電池の需要が増すことで価格が高騰しているという問題も指摘されており、エネルギー需要に見合う新しい電池の開発が急務とされていました。

そんな中で、インド工科大学マドラス校の研究者たちが新たに鉄イオン電池を開発したと発表しています。研究者はリチウムの代わりに鉄を多価イオンの電荷キャリアとして使用。鉄は他の金属に比べより安価で、イオン半径がリチウムイオンと同程度に小さく、酸化還元電位がリチウムイオンよりも高いというメリットが存在するのですが、これまで充電式の金属イオン電池の材料としては見逃されてきたとのこと。

 

 

このことからチームは鉄イオン電池の開発に取り掛かりましたが、電池に最適な電解質の開発に課題がありました。開発された鉄イオン電池は、片方の電極に金属酸化物を、もう1つの電極に軟鋼が使用されたもの。このデザインによりチームはリチウムイオン電池の60%のパフォーマンスを生み出すことに成功しました。

鉄は充電中にデンドライト(樹枝)状にならないため、短絡が起こりにくいと研究者は述べています。このため、リチウムイオン電池に比べてコスト効率が高く、ショートなどの危険性が低くなるそうです。

またリチウムイオン電池の製造は、リチウムの反応特性のため、制御された環境下で行う必要がありますが、これも製造コストを増加させる原因となります。これとは対照的に鉄イオン電池は自然の大気の中で製造することが可能。研究チームは実験において、自然の大気中で作られた鉄イオン電池が、制御された環境下で作られた鉄イオン電池の72%のパフォーマンスを実現することを示しました。

 

この研究は鉄が多価イオンの電荷キャリアとして使用できることを証明した始めてのもの。2019年8月時点では鉄イオン電池は150サイクルの充電と放電に耐え、50サイクル後も容量維持率は54%と安定性を示したとのこと。一方でエネルギー密度は220ワット時毎キログラムですが、さらなる最適化とテストを繰り返すことでより高いエネルギー密度を実現できるものとみられています。

 

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