テスラのイーロン・マスクCEO率いる宇宙企業のSpaceXは、新型宇宙船「スターシップ」のプロトタイプを2019年9月28日に公開しました。
スターシップは完成後、2023年に予定されている民間人初の月旅行に用いられる予定です。
スターシップの高さは387フィート(約118m)で、再利用が可能な設計になっているとのこと。ブースターには最大31個のラプターエンジンが搭載され、スターシップ自体にも6個のラプターエンジンが搭載される予定。ラプターエンジンは試作機「スターホッパー」に搭載されていたもので、スターホッパーの飛行実験は2019年8月に成功を収めています。
11 years ago today, we launched our first successful mission. To date, we’ve completed 78 launches and have developed the world’s only operational reusable orbital class rockets and spacecraft—capable of launching to space, returning to Earth, and flying again pic.twitter.com/5L0q9PJ90P
— SpaceX (@SpaceX) September 29, 2019
通常、宇宙船の外装には軽量性を重視してチタンや炭素素材が採用されますが、テキサス州ボカチカにあるSpaceXの実験施設で公開されたプロトタイプの外装は、銀色に輝くステンレス製。ステンレスは炭素素材よりも安価ですが、強度の面から現代の宇宙船にはほとんど使われていません。
Just leaving SpaceX Starship build site in Boca pic.twitter.com/Bqt40mSdX4
— Elon Musk (@elonmusk) September 23, 2019
重いステンレスをスターシップの外装に採用した理由について、マスクCEOは「ステンレスの比強度は室温だと炭素素材を下回りますが、低温では炭素素材をわずかに上回り、高温だとステンレスの方が非常に優れています」と主張しています。また、プロトタイプの公開イベントでは「私は鉄が大好きなんです」とコメントし、会場の笑いを誘いました。
スターシップは2カ月以内に打ち上げと着陸のテストが行われ、およそ6カ月で地球の周回軌道に到達することが計画されているとのことで、「テストプログラムが順調に進めば2020年には有人飛行をスタートすることも可能です」とマスクCEOは述べました。
マスクCEOによると、スターシップは宇宙や月、火星まで最大100人を運ぶことができると述べていますが、スターシップが月や火星に向かうためには、燃料の管理や補充が課題。SpaceXは、国際宇宙ステーションにドッキングして燃料を補充するのではなく、2機のスターシップの底部を接続して燃料を補給する計画を立てています。この計画について、マスクCEOは「これは月や火星に基地を建設するための重要な要素の1つです」とコメントしています。
スターシップは将来的に商業向けの宇宙旅行に用いられる予定です。その第1弾が2023年に予定される月周回軌道旅行であり、ZOZOの前代表である前澤友作氏など数人のメンバーがこのスターシップに乗り込むことになります。
マスクCEOは「これは私が今まで見た中で最も刺激的な出来事です。素晴らしいチームがこの素晴らしい乗り物を作り上げるのは信じられないほど素晴らしい仕事です。このような素晴らしいチームと一緒に仕事ができたことを誇りに思います」と語りました。
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